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海上コンテナの仕事は、荷物を届けたら終わり、ではありません。空になったコンテナを返しに行くまでが仕事です。
その返し先が「バンプール」です。私はトラックドライバーとして25年、そのうち15年は海上コンテナのトレーラーに乗っていました。走っていたのは東京港です。今回は、ほとんど知られていないこの返却の仕事について、私が見てきたことを書きます。
港の待ち時間の話は海コンの待ち時間はどれくらいか、港に入る予約の話は海コンの搬出入予約に書きました。今回はその続きです。
ヤードとバンプールは、何が違うのか
港のヤードは、船が着く場所です。荷物の入ったコンテナ(実入り)の搬出入と、空のコンテナの搬出入をします。
バンプールは、空のコンテナ専用の置き場です。現場では空のコンテナのことを「空バン」と呼んでいました。バンプールは船が着くような施設ではなく、倉庫やシャーシプール(トレーラーの荷台を置いておく場所)の隣にあったりします。
荷物を届けて、デバン(コンテナから荷物を出す作業)が終わったら、空になったコンテナをバンプールに返しに行く。これが海コンの一日の、後半の大事な仕事です。
待機場からあふれると、一般道に並ぶ
バンプールにも並びがあります。並びの長さは、ヤードほど伸びることはありません。ただ、場所によってはやたら伸びる所もあります。
待機場は、少しある所と、ない所があります。そして待機場からあふれると、一般道に並んで待つことになります。ここからが、バンプールの並びにくさです。
一般道には、路上駐車の車や、大型のトラックも止まっています。そのせいで、並びの間がすごく空いたりします。すると、こういうことが起きます。
- 並びが合っているか聞きに行くのが大変。最後尾についたら、前の車に「この並びで合っていますか」と聞きに行くのですが、間が離れていると、そこまで歩くのが大変です
- 最後尾を追い越してしまう。大型の単車は絶対に並びではありません。ただ、路上駐車の大型の陰に最後尾のトレーラーが隠れていると、見えないので、その先まで行って追い越してしまう。そうなるとやり直しです
- 前が動いたか分からない。並びについても、すぐ前が路上駐車の大型だと、その先のトレーラーが動いたかどうか分かりづらい
- 倉庫の出入り口をふさぎそうになる。並んでいる場所によっては、倉庫の出入り口をふさいでしまいそうな時もあります
港のゲートには、待機場や誘導があります。一般道に並ぶバンプールは、並びが合っているかを自分で確かめに行く世界です。
「トンボ」が取られると、待たされる
バンプールでコンテナを上げ下ろしするのは、空のコンテナ専用の重機です。コンテナを横からつかむタイプで、現場では「トンボ」と呼ばれていました。
なぜトンボと呼ぶのかは、正直分かりません。40フィートのコンテナをつかむときに、横に広がった形がトンボみたいだからかな、と私は思っています。
このトンボが、ほかの仕事に取られることがあります。バンプールからヤードへの「シフト」です。シフトというのは、空のコンテナをヤードに持っていって、船に積む準備をすることです。
シフトが入ると、トンボはそちらに回ります。しかもシフトの車は並ばずに「まくり」で入ってきます。まくりというのは、列の横から抜けて入ったり、誘導員の指示で逆走して入ったりすることです。並んでいる側は、そのぶん待たされます。
返す場所が、ヤードに変わることもある
返す場所が変わることもあります。「ヤードに持っていって」と言われたら、今度は自分がまくりでヤードへ持っていきます。ヤードの中では、普通に並びます。
いつもは待たされる側なのに、この時だけは、自分がまくりで入る側になります。
汚れで引っかかると、長い時は2時間
返すときには、コンテナの状態をチェックされます。私がよく引っかかったのは汚れでした。掃除がされていない。油染みがある。油染みは、たぶん海外での作業でついたものだと思います。
引っかかると、通関業者との確認で待たされます。ドライバーは会社に連絡して、あとは連絡を待つだけです。会社から連絡が来ることもあれば、バンチェック(コンテナの状態を確認する人)から「OK出たよ」と声がかかることもあります。
長い時で、2時間待たされました。汚したのは自分ではなくても、返しに来たドライバーが待つことになります。
今でも忘れない、デバン先とのやり取り
一度、デバン先の業者ともめたことがあります。
荷物を出したあとのコンテナが汚れていたので、「掃除しないと、掃除代金を取られますよ」と言いました。返ってきたのは、こうです。
「なんで掃除しなきゃならないんだ。お前らが掃除するのが当たり前だ!」
「日本では、掃除するのが当たり前です」と言い返しましたが、聞き入れてもらえませんでした。
案の定、バンプールで引っかかりました。ただ、前もって会社に連絡を入れておいたので、バンプールではそんなに待たされずに済みました。今でも忘れない出来事です。
うまくいくと「降ろしどり」
返し終わったら、無線で次の指示を受けます。
たまに「降ろしどり」というのがあります。返却したそのバンプールで、空のコンテナを受け取る仕事(空バンピック)があれば、降ろして積んで、が1回で済みます。同じバンプールなら、並び直す必要がありません。
一番面倒なのは、並んだあげくのヤード行き
返却の仕事で一番面倒なのは、並んだあげく、ヤードに持っていくことになる時です。並んだ時間が、まるごと二度手間になります。
でも、こればっかりは行ってみないと分かりません。
これから海コンをやる人へ
返却の仕事について、知っておくと楽になることを挙げておきます。
- 返却までが仕事。荷物を届けたあとに、空のコンテナを返しに行く時間がある
- 一般道に並ぶ時は、最後尾をよく見る。路上駐車の大型の陰に、トレーラーが隠れていることがある。倉庫の出入り口もふさがないように
- 汚れていたら、先に会社へ連絡しておく。引っかかった時の待ち時間が違う
- 現場の言葉は、覚えれば早い。空バン、トンボ、シフト、まくり、降ろしどり。最初は分からなくて当然です
それと、もうひとつ。
慣れてくると、並んでいるトレーラーに載っている空バンを見ただけで、どこの並びか分かるようになります。「このバンプールの最後尾は、だいたいこのへんだろう」と見当がつくようになって、最後尾の人に聞きに行かなくても並べるようになります。
だから、最初はゆっくり覚えればいいと思います。焦ることはありません。大きいトラックに乗っているのだから、急いだって変わりません。間違えたら、やり直せばいい。そのくらいの気持ちでやってもらいたいです。
海コンの仕事が自分に合うかどうかは、入る前には見えにくいところです。自分では聞きにくいことは、間に人を挟んで確かめてもらう手もあります。たとえばドライバーの求人・転職・募集なら【レバジョブ】
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