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夕方の港で、予約があるかないかで、帰れる時間が2時間くらい違う日がありました。
私はトラックドライバーとして25年、そのうち海上コンテナのトレーラーに15年乗ってきました。走っていたのは東京港です。
前回の海コンの待ち時間の記事では、夕方の港で「待たされる」話を書きました。今回はその続きで、港に入るための「予約」の話です。数台しか取れない予約を、会社がどう使い、取れなかったコンテナをどう運んでいたか。私がいた頃のやり方を書きます。
先に断っておくと、私が海コンをやめてから5年以上たっています。今の港の仕組みは後半で調べて書きますが、そこは私の体験ではありません。分けて読んでください。
予約は、数台しか取れない貴重なものだった
私がいた頃には、もう予約の仕組みはありました。ただ、枠の台数が少なかった。
予約を取るのは会社です。前の日に、事務所の人たちが手分けして取っていました。それでも取れるのは数台。全部のコンテナに予約が付くわけではなく、予約は貴重なものでした。
当日の流れは、こうです。
- 前の日に、会社が予約の時間と「枝番」を取っておく
- ドライバーは予約票に、予約時間・会社名・枝番を自分で書く
- 港に着いたら、その予約票を守衛さんに渡す
- 守衛さんが手元のリストと照らし合わせて、入場
紙と手書きです。そして大事なのが時間で、予約時間の前後30分くらいに入らないといけませんでした。早すぎても遅すぎてもだめです。
その時間に間に合う車を振るのは、配車係です。GPSや無線でどの車がいまどこにいるかを見ていて、予約の時間に行ける車があれば、その車に振る。ドライバーが何時間も前から「この予約に行け」と言われて待っている、というものではありませんでした。
予約は、どのコンテナに使っていたか
数台しかない予約を、何に使うか。私の会社では、だいたい次の2つでした。
- 当日配達のコンテナ——今日中に届けないといけないもの
- いつも混むヤード——並んだら何時間かかるか読めない場所
時間帯で言うと、午後の予約が多かったと思います。
理由は、港に車が集まる時間です。午前中は比較的空いています。朝の配達を終えた車が港に戻ってきて、午後から積み置き(翌日の配達に備えて、前の日のうちにコンテナを取っておくこと)のために並び始める。だから午後のほうが混む。
その混む午後に、混むヤードへ予約で入る。そう使うのが一番効きました。
予約が取れなかったら、午前に取りに行く
では、予約が付かなかったコンテナはどうするか。空いている午前中に取りに行く、というのが基本でした。
このときも優先順位があって、今日中に届けるコンテナや、積み置きの中でも急ぐものから先に取りに行っていました。
港に着くのは朝8時くらいにしていました。同僚には、もう少し早く来ている人もいたと思います。もっと早く行けば先に入れそうに思えますが、早く行きすぎてもあまり変わらない。それに、早く出るほどその日の労働時間が朝から積み上がっていきます。この話は後でもう少し書きます。
例外は、前の日にコンテナを取りこぼして、午前中に配達しないといけない日です。そういう日は、ゲートが開く前から並んでいました。早朝の港の記事で書いた、夜明け前の列はこの日の話です。
混んでいるヤードだと、朝から並びはできています。ただ、朝の列は動き出せば捌けるのが早い。夕方の、いつ動くか分からない並びとは違って、そこまでストレスはありませんでした。
それ以外のコンテナは、普通に並びます。空いていればすぐ出られるし、混んでいれば誰かが長い時間並ぶことになる。そこはもうヤード次第でした。
並び方は同じ。違うのは、終わる時間
午前の空いているときと、午後の混んでいるとき。並んでいる間にやることは、特に変わりません。トラックから離れず、前が動くのを待つだけです。
違うのは、何時に終わるかです。
夕方の混んでいる時間だと、予約ありと予約なしで、2時間くらい違う日がありました。同じヤードに、同じように来ているのに、予約がある車は先に入って、先に帰っていく。
だから予約がある日は、本当に助かりました。普通に並ぶよりも早く帰れる。会社から見れば、これで残業が削れるわけです。数台しか取れない予約を事務所が前の日に手分けして取っていたのは、そういう理由だったと思います。
海コンは、時間帯の読み合いだった
こうして振り返ると、私たちがやっていたのは、こういうことでした。
- 空いている午前は、予約なしで並んで取りに行く
- 混む午後は、数少ない予約を当てて入る
- どちらにも乗らないコンテナは、ヤード次第で並ぶ
港に車が集まる時間をずらして、なるべく長く並ばずに済むようにする。運転の上手い下手とは別に、いつ港に行くかでその日の終わり方が決まる仕事でした。
どのコンテナを誰が取りに行くかを決めていたのは配車です。前回の記事にも書きましたが、ドライバーが自分で選べるわけではありません。ただ、この読み合いの仕組みを知っているだけで、振られた仕事の見え方は変わりました。
今の東京港はどうなっているか(ここからは調べた話)
ここからは、私の体験ではなく、公表されている資料で調べた内容です。
朝のゲートを早く開ける日があります。ゲートの時間は原則8時半から16時半ですが、東京港では2011年12月から、開始を1時間前倒しして7時半にする「早朝ゲートオープン」に取り組んでいます。トラックが港に来る時間を分散させるのが目的だと、東京都の資料に書かれています。
これは私の頃もありました。ただ、毎日ではありません。月・水・金のように日が決まっていて、東京港ポータルサイトで公表されるのを見て確認していました。今どの日に、どのターミナルでやっているかは、ポータルサイトで確かめてください。
ゲート前の渋滞は、だいぶ短くなっています。東京都の資料によると、ゲート前の渋滞の長さは平均で、2011年の1.26kmから、2023年には0.36kmまで減りました。対策として、車両待機場やストックヤードの整備、早朝ゲートなどが挙げられています。
予約の仕組みも変わっています。今は「CONPAS(コンパス)」というシステムを使った搬出入予約が、2022年度から試験的に始まり、2025年8月からは大井ふ頭の一部のターミナルで常時の運用になりました。その後、対象のターミナルが広がっています。
東京都の資料を見ると、予約した車はまず車両待機場で受付をして、誘導されてターミナルへ向かう流れになっています。ゲートでは、PSカード(港に入るためのICカード)をタッチして、事前に登録した搬入の情報と照らし合わせることで、手続きを短くしているそうです。
PSカードは、私の頃もありました。ただ、そのときは港に入るための通行証という役割だけでした。紙の予約票を守衛さんに渡していた頃とは、だいぶ違っています。
ただ、今の現場で実際にどれくらい予約が取れるのか、使い勝手はどうなのかは、私には分かりません。そこは今の現役の人に聞いてみたいところです。
私の頃と今では、労働時間のルールが違う
朝早く行けば先に入れる。そう考えたくなりますが、私は早く行きすぎないようにしていました。早く出るほど、その日の労働時間が朝から積み上がっていくからです。
ただ、正直に言うと、私がいた頃は労働時間について、今ほどうるさくはありませんでした。調べてみると、ルールそのものが今より緩かったことが分かりました。
トラックドライバーの労働時間には、国が決めたルール(改善基準告示)があります。これが2024年4月に変わっています。
- 1日の拘束時間:以前は原則13時間・最大16時間 → 今は原則13時間・最大15時間(長距離運行などの例外を除く)
- 仕事と仕事の間の休息:以前は継続8時間以上 → 今は継続11時間を基本に、9時間を下回ってはいけない
- 残業時間の上限:以前はトラックドライバーには法律の上限がまだかかっていなかった → 今は年960時間まで
そして、昔も今も変わらないのが、荷待ちの時間も拘束時間に入るということです。
つまり今は、朝早く港に着いて並んでいる時間の重さが、私の頃とは違います。休息は長く取らないといけないし、1日に使える時間は短くなった。朝早く並べば並ぶほど夕方に使える時間が減り、そこで夕方の混雑に捕まったら、時間が足りなくなります。
午前は早すぎず、混む時間は予約で避ける。私たちがやっていた時間の読み合いは、今の港のほうが、もっと大事になっているのだと思います。
これから海コンに入る人へ
面接で聞けることは、正直あまりありません。予約のことや積み置きのことを細かく聞くと、海コンの経験がある人ほど、かえって「前の会社で何かあったのか」と思われかねないからです。
聞いていいのは、朝は何時に会社を出るのかくらいだと思います。その日の拘束時間がどこから始まるかの話なので、聞いて不自然なことではありません。
予約のことや積み置きのことのように、自分では聞きにくいことは、間に人を挟むという手もあります。ドライバー専門の転職エージェントなら、条件の確認を代わりにやってくれます。たとえばドライバーの求人・転職・募集なら【レバジョブ】
は、ドライバー職に特化したサービスです。
私は登録していないので、使った感想は書けません。自分で確かめられる人は、無理に使う必要はありません。
それ以外は、入ってから知っていけば十分です。知っておくと楽になることを挙げておきます。
- 港は午前が比較的空いていて、午後に混む。朝の配達を終えた車が、午後から積み置きで集まってくるから
- 予約の車を振るのは配車係。GPSや無線で車の位置を見ていて、予約の時間に行ける車があれば振られます。前もって言われるとは限りません
- 早朝ゲートの日や混み具合は、東京港ポータルサイトで見られる。ライブカメラもあります
待ち時間と給料の関係については、海コンの待ち時間はどれくらいか|東京港で10時間半並んだ日に詳しく書きました。
夕方の2時間は、そのまま家に帰る時間の2時間です。予約があるかないかは、それくらいの差でした。
参考にした資料
- 東京都港湾局「東京港の取組状況」(国土交通省 委員会資料・PDF)
- 東京都「CONPAS活用 コンテナ搬出入予約制 常時運用開始」(2025年7月)
- 東京都 コンテナ搬出入予約制に関する資料
- 東京港ポータルサイト
- 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」
- 厚生労働省「はたらきかたススメ(トラック)」(時間外労働の上限規制)
今の港の仕組みは2026年10月時点で調べたものです。変わることがあるので、最新の情報は上の公式サイトで確かめてください。


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