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転職を考えているドライバーが、たぶん一番気にしているのはここだと思います。「収入が下がることを、家族にどう説明するか」
私はトラックドライバー25年、そのうち15年は海上コンテナのトレーラーに乗っていました。今は食品の近距離配送です。結婚していて、子どもが二人。海コンをやめたとき、収入は落ちました。
ただ、この記事を書くにあたって当時のことを思い返してみて、自分でも意外だったことがあります。
妻は、一度も反対しませんでした。
収入が下がる話で揉めた記憶が、ほとんどないんです。代わりに揉めたのは、まったく別のことでした。
先に断っておきます。これは「ドライバーの家族はこういうものです」という話ではありません。家庭の事情は人によって違いすぎます。あくまで、私の家の場合はこうだった、という一例として読んでください。
先に結論——反対されたのは、給料ではなかった
結論から書きます。私の家で問題になったのは、金額ではありませんでした。
- 収入が下がること → 反対されなかった
- 働く時間帯が変わったこと → 喧嘩になった
転職を考えている人は、たいてい「いくら下がるか」を家族にどう伝えるかで悩んでいると思います。私もそうでした。
でも実際に家庭に効いてきたのは、金額ではなく、家にいる時間と、飯の時間でした。
海コンをやめたときの、本当の理由
まず、私がなぜ15年乗った海コンをやめたのか。転職の話は妻にきちんとしていました。そのとき伝えた理由は、正直に書くとこうです。
- あと15年やっても、給料は変わらないと思った
- 大きい車に乗っているというリスク
- コロナ禍で、仕事そのものが薄くなってきた
先に書いておくと、仕事の中身が嫌になったわけではありません。海コンの仕事自体は、今でもいい仕事だったと思っています。
一番大きかったのは、あと15年続けても給料はたぶん変わらないという見通しでした。私の年収は20歳の頃の360万円から、海コンのピークで500万円台前半まで上がりましたが、そこからは頭打ちでした。上がりきったところで、あと15年。
もうひとつ、これは体がきついという話ではなく、大きい車に乗り続けていることそのもののリスクです。
トレーラーは、とにかく事故の確率が上がります。特に多いのが、物への接触です。
人身事故の話ではありません。ぶつける相手は、たいてい物です。電柱、ガードレール、看板、塀、他人の車、構内の設備。内輪差があって、後ろが見えなくて、狭いところに入っていく。うまい下手の前に、そもそも当てる可能性が高い車に乗っているということです。
そしてこれは、気をつけていれば絶対に起きない、という種類のものではありません。毎日毎日、狭い構内に入って、バックして、また出ていく。その回数を15年積み重ねれば、確率は確実に上がります。
一度やれば、金額が大きい。会社にも迷惑がかかる。場合によっては仕事も止まる。その怖さを、ずっと背負い続けることになります。
そこにコロナが重なりました。荷動きが落ちて、仕事そのものが薄くなってきた。歩合の乗る仕事は、荷物が減ればそのまま収入が減ります。「このまま乗り続けること」自体が、安全な選択ではなくなっていたんです。
この3つを並べて、私はやめました。
妻が反対しなかった理由を、あとから考えた
正直、もっと揉めると思っていました。子どももいて、家のローンもある。収入が下がると分かっている転職です。
でも、妻は反対しませんでした。
理由を本人に確かめたわけではないので、これは私の想像です。ただ、妻も働いているというのは大きかったと思います。私の収入が全部ではない。だから「一気に生活が崩れる」という話にはならなかった。
それと、たぶん私が15年やってきたのを、横で見ていたからだと思います。朝の暗いうちに出て行って、遅くに帰ってくるのを15年見ていれば、「もう嫌だ」と言い出したときに、それが軽い気持ちでないことは分かるはずです。
ありがたかったな、と今でも思っています。
だから、これから家族に話す人へ私が言えることがあるとすれば、ひとつだけです。金額の話より先に、なぜ辞めたいのかを話したほうがいい。金額は、あとから一緒に計算すればいい話です。
揉めたのは金ではなく、時間帯だった
ここからが、この記事で一番書きたかったところです。
転職して、働く時間帯が変わりました。そうしたら、生活が少し変わったんです。そして、子どものことで喧嘩になることが出てきました。
一番大きかったのは、夕飯の時間が合わなくなったことです。
私の飯の時間と、家族の飯の時間がずれる。同じ食卓につく回数が減る。それだけのことなんですが、これが積み重なると、家の中の役割が一方に寄っていきます。
妻は自分も働いていて、帰ってきて夕飯を作って、子どもの学校のことを一人でやっていました。
本人がそう言ったわけではありませんが、辛かったと思います。
ここが、転職を考えているときには絶対に見えない部分です。求人票を見ているとき、私たちが比べているのは金額と勤務地と休みの日数くらいです。「その勤務時間だと、家の中の負担が誰に寄るのか」までは、誰も計算しません。
でも実際に家庭に影響が出たのは、金額ではなくこっちでした。
ちなみに今は、子どもが二人とも高校生です。手がかからなくなったので、その意味ではだいぶ楽になりました。この問題は、子どもの年齢でまったく重さが変わります。小さいお子さんがいる人ほど、ここは真面目に考えたほうがいいと思います。
ただ、時間帯が変わっていいこともあった
悪い話だけ書くとフェアではないので、いいほうも書きます。というより、同じ「時間帯が変わったこと」が、そのままいい面にもなっています。
今の私は昼には家にいます。だから、こういうことができるようになりました。
- 夏休みに、子どもの昼ごはんを作ってやれた
- 病院に行ける
- 銀行に行ける
- 役所の手続きができる
- 洗濯物を取り込める(笑)
並べてみると地味ですが、病院・銀行・役所は、平日の日中しか開いていません。普通に働いていると、これを片付けるためだけに休みを使うことになります。それが休みを削らずにできる。
そして夏休みの昼めしです。これは正直、やってよかったと思っています。海コンに乗っていた15年間では、絶対にできなかったことです。
だから、時間帯が変わることはマイナスだけではありませんでした。夕飯を一緒に食べられなくなった代わりに、昼間の家のことができるようになった。減ったものと増えたものが、両方あります。
求人票に「2時半出勤」と書いてあるとき、そこに含まれているのはこの両方です。しんどさだけでもないし、都合のいい話だけでもない。
「給料は変わりません」と言われて、3万円下がった
ここは、これから転職する人に一番読んでほしいところかもしれません。
海コンをやめたあと、私は友達に紹介してもらった会社に入りました。この会社は、実はそんなに給料は下がりませんでした。紹介ということもあって、中身がある程度分かっていたのが大きかったと思います。
ところが、その会社がなくなりました。
そこで、今の会社に引き取ってもらう形になりました。自分で選んで移ったわけではありません。
そのとき、「給料は変わらない」と言われていました。
実際にどうだったか。3万円くらい下がりました。
月3万円です。年にすれば36万円。「変わらない」と言われた話が、この金額でした。
そして、別の記事にも書きましたが、今の勤務地は遠いです。通勤時間には1円も出ません。年収の比較表にも、求人票にも出てこない部分です。
ここから学んだことは、はっきりしています。
「給料は変わりません」は、条件ではありません。口で言われただけのものは、あとから確かめようがない。基本給がいくらで、手当がいくらで、みなし残業が何時間分入っていて、ボーナスは年何回か。そこまで数字にしないと、「変わらない」の中身は分かりません。
私はそれをやらずに移って、3万円下がりました。
妻に「早く転職しろ」と言われて、1年以上経っている
最後に、格好のつかない話を書きます。
今の会社は、給料が下がって、勤務地が遠い。それで私は転職を考えています。これも妻には言ってあります。
返ってきた言葉は、反対どころか「すぐに転職しろ」でした。
そう言われて、1年以上が経っています。
私はまだ、動いていません。
この記事を「家族の説得のしかた」を知りたくて開いた人には、申し訳ない結末だと思います。私の場合、説得は必要なかった。必要だったのに足りなかったのは、自分のほうでした。
25年やっていると、次の会社が当たりかどうかは、入ってみないと分からないと知っています。トレーラーに乗り換えたときのように良くなることもあれば、「給料は変わらない」が3万円下がることもある。それを知っているぶん、足が止まります。
だから、同じように止まっている人に「早く動け」とは言えません。私自身が、動けていないので。
ただ、ひとつだけ分かったことがあります。止まっている理由は、家族の反対ではありませんでした。反対されていると思い込んでいる人は、一度ちゃんと話してみたほうがいいと思います。私の場合、返ってきたのは反対ではなく「すぐに転職しろ」でした。
まとめ
- 収入が下がる転職を、妻は反対しなかった。妻も働いていたのと、15年見ていたからだと思う
- 海コンをやめた理由は、給料の頭打ち・大きい車に乗り続けるリスク(特に物への接触事故)・コロナの3つ
- 揉めたのは金ではなく、働く時間帯。夕飯の時間がずれ、学校のことが妻に寄った
- ただし同じ時間帯のおかげで、夏休みの昼めし・病院・銀行・役所・洗濯物ができるようになった
- 会社がなくなって今の会社へ。「給料は変わらない」と言われて、3万円下がった
- 妻に「すぐ転職しろ」と言われて、1年以上動けていない
その給料で実際にどんな暮らしをしているかは、トラックドライバーの給料で、どんな生活をしているかに書きました。合わせて読んでもらえると、たぶん立体的になると思います。
「本当に変わらないんですか」と、自分では聞きにくい
この記事で書いた3万円は、「給料は変わりません」を口約束のまま受けたから起きたことです。
本来は、基本給・手当・みなし残業の時間数・ボーナスの回数まで確かめるべきでした。ただ、これを自分から詰めて聞くのは、正直やりにくいです。金の話ばかりする人だと思われそうで、私は聞けませんでした。紹介や引き取りのような、断りにくい流れなら余計にです。
そういうときに、間に人を挟むという手があります。ドライバー専門の転職エージェントなら、条件面の確認を代わりにやってくれます。
たとえばドライバーの求人・転職・募集なら【レバジョブ】
は、ドライバー職に特化したサービスです。
私は登録していません。今の会社にいながら求人を眺めているだけなので、実際に使った感想は書けません。ただ、言いにくいことを代わりに聞いてもらえるというのは、こういう業界では意味のある仕組みだと思います。
自分で直接聞ける人は、そのほうが早いです。無理に使うものではありません。

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