この記事の概要:タンクローリードライバーの給料は、求人票の「月収例」だけでは見えない部分が多い。この記事では、ガソリン配送・化学品・食品系・潤滑油の年収相場、私の25年の年収推移、10年前にタンクローリー面接で聞いた具体額、求人票の落とし穴(みなし残業・ボーナス込み表記)、手取りの目安まで、現役25年ドライバーが整理します。
「結局、タンクローリーって、いくらもらえるの?」
この記事はその一点に答えます。
私自身が10年前にタンクローリーの面接を2社受けたときの具体的な金額、25年の年収推移、同業者から聞いている相場——これらを正直にまとめました。
求人票の「月収例50万円可能!」の裏側、「年収500万円」がボーナス込みなのか別なのか、手取りはいくら残るのか。読者が一番知りたい部分から書いていきます。
シリーズ第1回:乙4を10年眠らせた——それでもタンクローリーを目指す理由
シリーズ第2回:タンクローリーの仕事 4種類と現実【2026年版】
まずは公的データから——トラック運転者の平均年収
タンクローリー固有のデータは政府統計に存在しないので、まずトラック運転者全体の平均を押さえます。
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年3月公表)によると:
- 営業用大型貨物自動車運転者:平均年収約492万円(きまって支給する現金給与額 月37.7万円+年間賞与)
- 営業用普通・小型貨物自動車運転者:平均年収約449万円(令和5年データ)
全産業平均(約507万円)よりやや低い水準です。そしてこれは残業込み。タンクローリーも基本的にこのラインの周辺に位置します。
ここから、タンクローリー特有の「運ぶものによる差」と「求人票では見えない部分」を、25年現役の本音で整理していきます。
まず結論:4種類の年収相場
タンクローリードライバーの年収は、運ぶものによって以下のレンジに分かれます。
| 種類 | 年収相場(ボーナス込み) | 残業前提 |
|---|---|---|
| ガソリン・軽油配送(GS向け) | 400〜480万円 | あり(多め) |
| 化学品(工業薬品)配送 | 420〜500万円 | 会社による |
| 食品系(食用油・乳製品など) | 380〜460万円 | 早朝中心 |
| 潤滑油・油脂類 | 400〜470万円 | 比較的少なめ |
※ 関東エリアの中型〜大型ドライバーの目安。東京東部の同業者から聞いている話+過去の面接で得た情報をベースに整理しています。
これは「残業ありき」の数字です。残業ゼロで500万を超える求人は、ほぼ存在しません。ここをまず押さえてください。
私の25年の年収推移
ここから先は、私自身の25年の年収推移を正直に書きます。同業者の参考になればと思います。
| 時期 | 年収 | ボーナス | 備考 |
|---|---|---|---|
| 20歳・トラック業界に入った頃 | 約360万円 | ほぼ無し | 月収30万円スタート |
| 海上コンテナに移ってすぐ | 400万円台前半 | あり | 大型+牽引取得後 |
| 海コン10年目あたり | 450〜480万円 | あり | 経験+手当が積まれてきた |
| 海コン最高期(15年目前後) | 500万円台前半 | あり | これが私のピーク |
| 現在 | 海コン最高期より少し下がった水準 | 小遣い程度 | 食品配送・近距離 |
実は、ここに運送業のリアルが表れています。
私が「まともなボーナス」をもらえたのは、海コン時代だけ。それ以外の時期は、ボーナスがあっても寸志(小遣い程度)でした。
運送業界では、ボーナスは「あれば嬉しいオマケ」程度に考えておいた方がいい。会社・時期・業績によって大きく変動します。「賞与年2回」と書いてあっても、実態は5万円×2回——これが珍しくない世界です。
ここからわかるのは、20代の数年でほぼ収入の基本線が決まり、その後は微増していくということです。
「30代から急に倍になる」みたいな話はトラック業界ではほぼありません。コツコツ年収を積み上げる業界です。
そして大事なのは——私のピークでも510万円台ということです。「トラックドライバーは稼げる」というイメージがありますが、25年やってこの水準。タンクローリーで「年収700万」みたいな話を信じる前に、この現実を知っておいた方がいい。
10年前、タンクローリー面接で聞いた金額
ここが他のブログにはない情報です。
私は10年前、トレーラーから転職を考えてタンクローリーの求人に応募し、ガソリンスタンド向け燃料配送の会社2社の面接を受けました。
そこで聞いた給与の話は、こうです:
A社(中堅ガソリン配送会社)
- 年収目安:400〜450万円
- 月給:固定給にみなし残業2時間分が込み
- それ以上の残業は別途支給
- 残業時間:「月によって違う」とだけ。具体的な数字は教えてもらえなかった
- 雰囲気的には「かなり残業する前提」と感じた
B社(地場ガソリン配送)
- 年収目安:420〜450万円
- 月給:基本給+走行距離手当
- 残業時間:「会社全体で月60〜80時間が平均」と聞いた
- 日曜は基本休みだが「呼び出されることもある」
10年前に「思っていたより安い」と感じた、というのが正直なところです。
タンクローリー=高収入というイメージを持っていた当時の私にとって、年収400万円台前半は「現職と大して変わらない」水準でした。残業前提でその数字なら、なおさら。
残業の話——求人票では絶対わからない部分
ここを伝えたくて、この記事を書いています。
2024年問題以降、制度上は時間外労働の上限が年960時間になりました。月平均でいうと80時間。
ただ、これはあくまで「上限」です。実際には:
- 会社によっては今でも月80時間以上の残業が当たり前のところがある
- 求人票の「月収50万円可能」はだいたい月60〜80時間残業前提
- 「みなし残業◯時間込み」と書いてある会社は、その時間まで残業しても追加賃金なし
- 残業時間は入ってみないと本当のところは分からない
私が25年見てきた中で、確信を持って言えるのは:
「残業時間だけは、面接で聞いても本当のことは分からない」
これは業界の現実です。会社側も「平均◯◯時間」とは言うけれど、繁忙期と閑散期、ドライバーごとのバラつき、急な代走——実際に入ってみると話が違うことが多い。
だからこそ、求人票の年収だけで判断してはいけない。 これが10年前にタンクローリー面接で学んだことです。
求人票の3つの落とし穴
タンクローリーに限らず、運送業の求人票には共通の罠があります。
① 「月収例」は最高水準
求人票に「月収40〜55万円可能!」と書いてある場合、その55万円は最高水準の人の数字です。新人・経験浅め・残業少なめだと、表示の下限すら届かないこともある。
② 「年収500万円」がボーナス込みか別か曖昧
- 「年収500万円(ボーナス込み)」→ 月給×12 + 賞与の合計
- 「月収40万円〜+賞与年2回」→ 賞与額が書いてないと総額不明
そして大事な現実を一つ。運送業のボーナスは、当てにしないほうが安全です。
私自身、25年の中で「まともなボーナス」をもらえたのは海コン時代の10年強だけ。それ以外の時期は、あっても寸志(小遣い程度)でした。中小運送会社では、業績連動でボーナスがほぼゼロの年もあるのが現実です。
求人票で年収だけ見て「いいな」と思ったら、月給ベースに換算してみるのが大事です。月給×12でいくらになるか——これが「ボーナスがゼロでも確実にもらえる金額」です。この水準で生活が成り立つかで判断する方が安全。
③ 「みなし残業」が含まれている
- 「基本給25万円+みなし残業手当8万円(45時間分)」みたいな書き方
- これ、月45時間残業しても追加賃金なし
- 残業を45時間しなければ損な給与体系とも言える
結局、手取りはいくら?
「年収450万円」と聞いても、ピンと来ないですよね。
ざっくりですが、年収450万円の独身ドライバーの手取りは年間350万円前後です。月にすると手取り29万円ほど。
| 年収 | 手取り(独身・扶養なし) | 月の手取り |
|---|---|---|
| 400万円 | 約315万円 | 約26万円 |
| 450万円 | 約350万円 | 約29万円 |
| 500万円 | 約385万円 | 約32万円 |
| 550万円 | 約420万円 | 約35万円 |
※ 社会保険料・所得税・住民税を引いた概算。扶養家族や控除でこれより手取りが多くなります。
「年収500万」と聞くと多そうですが、月の手取り32万円——これがリアルな数字です。家賃・食費・車のローンを引くと、独身でもそこまで余裕は出ない。
タンクローリーで「家計が一気に楽になる」イメージを持っているなら、この手取り計算を一度してから判断した方がいい。
4種類の給料を比較してみる
第2回で書いた4種類のタンクローリーを、給料目線でもう一度整理します。
| 種類 | 年収相場 | 残業 | 休日 | 一言コメント |
|---|---|---|---|---|
| ガソリン配送 | 400〜480万 | 多め | 日曜怪しい | 求人多いが条件厳しめ |
| 化学品 | 420〜500万 | 会社による | 比較的安定 | 給料は4種類で一番高め、ただし長距離中心の会社も多い |
| 食品系 | 380〜460万 | 早朝が多い | 安定 | 衛生管理ありで給料はやや低め |
| 潤滑油 | 400〜470万 | 少なめ | 安定 | バランス型、求人は少なめ |
給料だけで言えば化学品が一番。ただし第2回でも書いた通り、長距離中心の会社が多めです。近距離配送中心の化学品ローリーを見つけられれば理想ですが、なかなか難しい。
バランスで言えば潤滑油。給料・休日・残業の3点が揃いやすい分野です。
よくある質問
Q. 大型免許+牽引免許+乙4の3点セットがあると、給料はどれくらい上がる?
A. 会社にもよりますが、月1〜3万円の手当がつくケースが多いです。年間で12〜36万円の差。これは決して小さくありません。乙4手当が月3,000〜10,000円、牽引手当が月5,000〜15,000円くらいが相場。
Q. 残業ゼロで500万円稼げる会社はある?
A. ほぼありません。あるとしたら大手メーカーの専属(食品大手・石油メジャー直属)くらいです。求人もほとんど出ません。「残業ゼロで500万」を条件にすると、選択肢がほぼゼロになります。
Q. ボーナスはどれくらいもらえる?
A. これが運送業の一番のグレーゾーンです。
私の経験で言うと、25年で「まともなボーナス」をもらえたのは海コン時代の約10年だけ。それ以外の時期はボーナスがあっても小遣い程度(寸志)でした。
一般論としての目安:
- 大手運送会社・大手メーカー専属:年2回・合計3〜5ヶ月分(年100〜150万円)
- 中堅運送会社:年2回・合計1〜2ヶ月分(年40〜80万円)
- 中小運送会社:寸志〜1ヶ月分(年10〜40万円)
- 業績悪化時:ゼロの年もある
求人票に「賞与年2回」とだけ書いてあって金額が記載されていない場合、面接で必ず「直近3年の支給実績」を聞くことをおすすめします。「業績連動」「会社規定による」と曖昧な答えなら、寸志程度と思っておくのが現実的です。
Q. 面接で給料の話、どこまで聞いていい?
A. これは聞いて大丈夫です。むしろ聞かないと損。
- 「みなし残業は含まれていますか?何時間分ですか?」
- 「平均的な月の残業時間はどれくらいですか?」(具体的な数字を聞く)
- 「ボーナスは年収に含まれた金額ですか、別ですか?」
- 「経験者だと、入社時の月給はどれくらいになりますか?」
ここを聞かない人ほど、入社後に「話が違う」となります。
私が今回タンクローリーに転向するなら、給料はこう考える
最後に、私自身の話を。
私は今、現職よりも家から近い職場で働きたい——これが転向の最大の理由です。給料は2の次。
ただ、現職の年収から大きく下がるのは厳しいのも事実。生活水準を維持するには、ボーナス込みで430万円以上は欲しい——これが私のラインです。
東京東部で、近距離で、年収430万円以上で、乙4が活きる仕事。
これを基準に求人を見ていきます。求人票で年収450万円と書いてあっても、みなし残業の有無、ボーナス込みかどうか、平均残業時間を聞いてからの判断です。
数字に踊らされず、自分のラインを持って動く。これが10年前の自分にできなかったことです。
まとめ
タンクローリーの給料相場は、4種類で380〜500万円のレンジ。最高水準でも残業前提で500万円台がほとんど。
求人票で見るべきは:
- みなし残業の有無と時間数
- ボーナスの実態(金額・直近の支給実績・業績連動かどうか)
- 平均残業時間(できれば数字で)
- 基本給の水準(残業ゼロ・ボーナスゼロでもらえる金額)
そして覚えておいてほしいのは:
- 残業時間は、面接で聞いても本当のところは分からない
- ボーナスは小遣い程度の会社も多い
これが業界の現実です。月給×12の金額で生活できるか——これを基準に判断すると、入社後の「話が違う」を防げます。
次回(シリーズ第3回):乙4が活かせる仕事の全体像——タンクローリー以外にもこんなにある
タンクローリー以外にも、乙4が活かせる仕事はたくさんあります。倉庫、ガソリンスタンド、プラント、消防設備関連——次回はそのあたりを整理します。
シリーズ第1回:乙4を10年眠らせた——それでもタンクローリーを目指す理由
シリーズ第2回:タンクローリーの仕事 4種類と現実【2026年版】
25年のトラックドライバー経験から、免許・資格・仕事のリアルを発信しています。


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