第1回で「乙4を10年眠らせた」と書きました。正直に書くと、完全に眠らせてたわけじゃありません。資格を取って間もない頃、千葉の運送会社2社の面接を受けてます。1社はガソリンローリー、もう1社はドラム缶配送。両方とも内定もらいましたが、結果的にどちらも断りました。
そして10年経った今、また動こうとしています。
第2〜5回まで、タンクローリーの種類・年収相場・現場の声を整理してきましたが、ここからは「自分自身が動いた話」と「今動こうとしてる現在地」に戻ります。
1社目:千葉のガソリンローリー専門の運送会社
1社目は千葉県内の、ローリー20台規模の運送会社。大手元売り系のガソリンスタンドへの専属配送がメインの会社でした。
ここで一つ、業界の話をしておきます。
「ガソリンローリー=乙4必須」と思ってる人が多いんですが、実際の求人を見ていくと「丙種可」の現場も普通にあります。1社目のこの会社も、求人票は「丙種可、乙4尚可」でした。ガソリンは丙種でも扱える危険物なので、法律上は丙種で乗れる。乙4は「あればなおよし」の位置づけ。
自分の場合は履歴書に「乙4取得済み」と書いて出していたので、面接で資格について何も聞かれませんでした。書類の時点で済んでた、ということです。
面接で聞かれたのは、こんな内容です。
- 大型免許はいつ取得したか
- これまで何の仕事をしてきたか
- なぜローリーをやりたいのか
- 早朝出勤は大丈夫か
特に難しいやりとりはなくて、淡々と進みました。ガソリンローリー系は事故時のリスクが大きい仕事なので、運転歴と性格を見られてる感覚はありました。「危ない仕事だから、慎重なタイプかどうか」を会社側は気にしてる。
ここも採用の方向で話は進みました。
2社目:千葉の油槽所にある、ドラム缶配送メインの会社
ここが今回の記事の本題です。
2社目は千葉の油槽所内にある運送会社でした。油槽所=石油の貯蔵基地で、千葉県は京葉工業地帯があるのでこの手の基地が多いエリアです。
会社の規模は、ざっくりこんな構成。
- ガソリンローリー:1〜2台
- 大型トラック(ドラム缶配送・集荷):4台くらい
- 4トン車(ドラム缶配送・集荷):6台くらい
つまりローリーがメインじゃなくて、ドラム缶配送がメインの会社でした。求人もメインで募集してたのはドラム缶配送(大型・4トン)の方で、求人票は「乙4優遇」とだけ書いてあった。
ここで一つ大事な話をします。
ドラム缶配送は、法的には危険物資格が「いらない」
消防法では、危険物の運び方は2種類に分かれます。
- タンクローリー=「移送」:危険物取扱者の同乗が必須(丙種または乙4以上)
- ドラム缶・一斗缶・ポリタンク等の容器輸送=「運搬」:危険物取扱者の同乗は法的に不要
つまりドラム缶でオイルを運ぶ仕事は、運転手が無資格でも法律上は問題ないんです。容器の規格・表示・積み方・混載の禁止みたいなルールはあるけど、ドライバー本人の資格は問われない。
10年前の面接でも、面接官の口ぶりからして「資格は持ってなくても平気」な雰囲気でした。自分は乙4を持っていたのであまり気にしてなかったけど、後から振り返ると、求人票に「乙4優遇」と書いてあったのは別の理由があったんだと思います。
「乙4ですか?丙種ですか?」と聞かれた理由
面接で資格の話になったとき、面接官にこう聞かれました。
「資格は乙4ですか?丙種ですか?」
「乙4です」と答えると、こう返ってきました。
「乙4ですか、すごいですね」
このやりとり、当時はそのまま受け取ってましたが、今振り返ると意味が見えてきます。
この会社はドラム缶配送がメインだけど、ガソリンローリーも1〜2台ある会社でした。ドラム缶配送だけなら資格不要。でも、もし乙4や丙種を持っていれば、将来ローリーにも回せる人材として価値が上がる。
つまり面接官は、「今すぐ必要だから」じゃなくて、「将来ローリーに乗ってもらえるかもしれない人材かどうか」を確認したかった。それで先に資格を聞かれた、というのが今わかる構図です。
求人票の「乙4優遇」も、ドラム缶配送そのものに必要だからじゃなくて、「ローリーへの転換が効く人材を取りたい」という会社側の意図だったんだと思います。
丙種と乙4の違い(簡単に)
- 丙種:ガソリン・灯油・軽油・重油・潤滑油など、引火点が高めの特定品目だけ扱える。試験範囲が狭く、合格率も高め
- 乙4(乙種第4類):第四類の引火性液体すべて扱える(ガソリン、アルコール類、化学品含む)。出題範囲が広く、化学の知識も必要
ドラム缶配送→将来ローリー、という流れを想定するなら、会社からすれば乙4持ちの方がより配属の選択肢が広がる。だから「優遇」だった。
面接はあっさり進んで、即採用でした。
2社見て気づいた「ローリー=乙4必須」の思い込み
ここまでで気づいた人もいると思いますが、
| 1社目 | 2社目 | |
|---|---|---|
| 業務 | ガソリンローリー専属配送 | ドラム缶配送メイン(ローリー1〜2台あり) |
| 求人 | 丙種可・乙4尚可 | 乙4優遇(資格は法的に不要) |
| 資格の位置づけ | ローリー=移送なので資格必須、丙種でOK | ドラム缶=運搬なので資格不要、乙4は「将来ローリーに回せる人材」評価 |
| 面接でのやりとり | 履歴書に乙4とあったので何も聞かれず | 「乙4ですか?丙種ですか?」と確認、乙4と答えて「すごいですね」 |
10年前の自分も「ローリー=乙4必須」と思い込んでた一人でした。実際に求人を見て初めて、
- ガソリンローリーは丙種でも乗れる(品目限定の現場が多い)
- ドラム缶のオイル配送は資格そのものが不要(運搬扱い)
ということを知った。求人の見方が変わったし、「乙4を先に取っておく価値」を別の角度で理解するきっかけにもなりました。
「乙4必須」じゃない現場でも、乙4を持っていくと配属の幅・将来の選択肢・面接での印象が変わる。これは10年前の面接2社で身をもって学んだことです。
業界あるある:「入社後に乙4取得支援します」のリアル
ここで一つ、求人を見てる人に共有しておきたい話があります。
ローリー系・ドラム缶系・ガソリンスタンド系の求人を見てると、「入社後に乙4取得支援します」と書いてある会社がよくあります。会社負担で講習費・受験料を出してくれて、業務時間内に勉強できるところもある。
一見、ありがたい制度です。
ただ、よく考えてほしいんです。
乙4は、それなりに難しい資格です。出題範囲が広くて、化学の知識も入る。合格率は3〜4割と言われてて、決して「誰でも受かる」資格じゃない。実際、自分の周りでも「受けたけど落ちた」って人を何人か知ってます。
「入社後に取得支援します」の問題は、受からなかった場合のリスクが自分に来るってことです。
- 会社からは「いつ取れるの?」のプレッシャー
- 「取れるって言ったから採用したのに」みたいな空気
- 配属が中途半端になる
- 給料の見直しもしてもらえない
逆に、先に取ってから動くと何が違うか。
- 求人の選択肢が広がる(「優遇」じゃなく「必須」案件も狙える)
- 給料交渉ができる(資格手当が乗る会社が多い)
- 面接で会社側の食いつきが違う(「すごいですね」みたいな評価が出る)
- 配属希望が通りやすい(タンク車にいきなり乗れる)
10年前の自分は、ここを直感的にわかってました。だから乙4を先に取ってから動いた。面接で「すごいですね」と評価されたのも、法的には資格が要らない現場に、乙4を持って行ったから。「持ってる」事実が、会社にとっての「将来の配属の幅」になる。
今振り返ってもこの動き方は正解だったと思います。
なぜ両方断ったか:知人紹介の方を選んだ理由
ガソリンローリーもドラム缶配送も内定が出ましたが、最終的に選んだのは知人紹介の運送会社でした。
理由はシンプルです。
- 労働時間が短かった
- 給料は面接2社とほぼ同じ
- 家から近かった
- 見学に行って、現場の空気が納得できた
知人紹介の方は手積み手降ろしがある仕事でしたが、見学のときに「これは慣れれば平気だな」と判断できました。何より、家からの距離が決定打でした。
当時から自分の中には、「年収を最大化する」より「生活設計を最適化する」という判断軸があったと思います。長距離で稼ぐより、家族と過ごせる時間がある方が長く続けられる。これは25年現役で続けてきた今、なおさら強く思います。
10年経って、状況が変わった
そして今、また動こうとしています。
なぜか。
知人紹介で入った会社が倒産しました。
引き受けてくれた会社はありがたいんですが、家からの距離が大きく伸びてしまった。10年前に決めた「家から近い」という判断軸が崩れたんです。
加えて、体の問題があります。
正直に書くと、ぎっくり腰を3回やってます。今やってる食品配送は手積み手降ろしの作業がある仕事で、25年積み上げてきた負担がここ数年で一気に来てる感覚です。
このまま今の会社にいると、
- 通勤時間が長い(疲労が抜けない)
- 手積み手降ろしの負担が続く(腰がもたない)
この2つが重なって、「次に動くなら今かもしれない」と考えるようになりました。
今探してるのは、こんな条件です。
- 家から近い(10年前と同じ判断軸)
- 手積み手降ろしが少ない(体への負担を減らす)
- 乙4が活かせる(資格手当・採用優位)
- 化学品系・燃料系のタンクローリーが軸
第2〜5回で調べてきたタンクローリー4種類の知識が、まさに今の自分の判断材料になってます。情報記事として書いてた回が、実は次の自分の動きの下調べでもあった、ということです。
第2〜5回の調査と、自分の現在地
このシリーズを書きながら気づいたことがあります。
第2回〜第5回で整理してきた内容、
- タンクローリー4種類の違い
- 化学品ローリーの中身
- 食品系ローリーの実態
- 給料の本当のところ
これは「読者のため」だけじゃなくて、自分自身が動くための下調べでもあったんだと思います。
10年前、内定2社を断ったときの自分は、まだ業界全体を見渡せていなかった。今は乙4の応用範囲も、車両ごとの違いも、給料の中心レンジも、それなりに整理できてます。第2〜5回を書いてきた時間が、自分の判断材料になってる。
これは振り返ってわかったことで、最初から計算してたわけじゃないです。ただ、結果的にシリーズの構造がそうなってる。
まとめ:乙4は「持ってから動く」が答え
10年前の千葉での面接2社、振り返って改めて思うことは2つです。
1つ目:乙4は、タンクローリー以外でも活きる。
ドラム缶配送のように、車両は普通の大型トラックでも、運ぶものが危険物なら乙4が評価される現場は多い。第3回で書いた「乙4が活かせる仕事の全体像」は、自分の体験から見ても本当です。
2つ目:「会社の取得支援」より「先に取って動く」方が、選択肢が広がる。
求人票の「乙4取得支援」は親切に見えるけど、受からなかった場合のリスクは自分に来る。先に取ってから動けば、求人の選択肢も、給料交渉も、配属希望も、全部自分側に有利になる。
次回(第7回)の予告
次回は、今まさに動こうとしている「タンクローリー求人の探し方」を書きます。
- どの求人サイトを使ってるか
- 何を見てるか、何を見ないか
- 「年収◯◯万」の数字をどう読むか
- 家から近い条件を優先する場合の絞り方
リアルタイムで動いている記録として、第7回以降を進めます。
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