※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。
「この会社、大丈夫かな?」
転職活動中のドライバーなら、必ず一度は感じる不安だと思います。
私自身、25年でいくつかの会社を渡り歩いてきました。良い会社もあれば、入ってから「しまった」と思った会社もある。知人の紹介で入った会社は倒産し、その会社ごと今の会社に引き取られました。自分で選んで移ったわけではありません。
よく「求人票は広告だから鵜呑みにするな」と言われます。それはその通りです。
ただ、25年やってきて思うのは、本当の問題はそこじゃないということです。
求人票を疑って、面接でちゃんと質問しても、それでも分からないことがある。私は実際に、一度は見抜けて、十年後に同じところで引っかかりました。
その話をします。
「危険物配送」だと思ったら、ドラム缶200キロだった
十年ほど前、千葉の油槽所にある運送会社の面接を受けました。
求人票には「危険物配送」「乙4優遇」と書いてありました。
この書き方なら、普通は燃料を運ぶ仕事だと思います。私もそう思って応募しました。ちょうど乙4を持っていたので、活かせるかもしれないと考えていました。
実際に行ってみると、違いました。
ガソリンローリーは1〜2台。あとは大型と4トンで、どれもドラム缶の配送と集荷です。つまりローリーの会社ではなく、ドラム缶の会社でした。
嘘は書いてありません。ドラム缶に入っているのは危険物ですから、「危険物配送」で間違いではない。
ただ、私が頭の中で描いていた仕事とは、まるで違いました。
数字は出てきた。でも「大したことないよ」が付いてきた
面接で聞きました。ドラム缶って、一本どのくらいあるんですか、と。
答えはこうでした。
「200キロ。慣れれば大したことないよ」
数字は、ちゃんと教えてくれました。隠されてはいません。聞けば出てくるんです。
問題は、そのあとに付いてきた言葉のほうでした。
「慣れれば大したことないよ」
これは事実ではありません。その人の感想です。
200キロというのは動かせない数字ですが、それが「大したことない」かどうかを決めるのは、私の体です。相手の体ではありません。
私は、無理だと思いました。だから断りました。
(このときの話はガソリンローリー=乙4必須は思い込みだった話に詳しく書いています。ドラム缶配送に乙4がいるかどうかも、そちらにあります)
同じ時期、手積みのある会社は選んでいます
面白いのはここからです。
同じ時期に、知人の紹介で受けた別の会社にも内定が出ていました。そこは手積み手降ろしがある仕事です。
私は、そっちを選びました。
見学に行って、実際に荷物を見て、「これは慣れれば平気だな」と自分で判断したからです。
求人票の上では、どちらも同じです。
「手積み手降ろしあり」
この五文字しか書いてありません。
でも中身は、200キロのドラム缶と、自分の体で持てる荷物です。まったく別の仕事です。
「手積みあり」の五文字では、何も分かりません。何キロのものを、一日に何個積むのか。それを聞かない限り、自分に合うかどうかは絶対に分かりません。
ここまでは、私はちゃんとやれていました。
十年後、私は同じ失敗をしました
その知人紹介の会社が、倒産しました。
そして私は、会社ごと今の会社に引き取られました。
そのとき、こう言われました。
「給料は変わりません」
私は、それで納得してしまいました。
今になって思えば、これは十年前の「慣れれば大したことないよ」と、まったく同じ形の言葉です。
評価だけがあって、数字がない。
聞くべきだったのは、これでした。
- 基本給はいくらか
- 手当は何が、いくら付くのか
- みなし残業は何時間分で、超えたら払われるのか
- 休日に出た日は、いくら付くのか
一つも聞きませんでした。
結果どうなったかは、雇用契約書をもらってない|「給料は変わりません」と言われて入った運送会社に書いています。手当は一つもありませんでした。休日手当は、三ヶ月で消えました。
十年前は見抜けて、十年後は引っかかった。慣れとか経験とか、あまり関係ないんだと思います。聞きにくい状況だと、人は聞けません。引き取りのような、断りにくい流れなら余計にです。
会社は「評価」で話す。こちらは「数字」を取りに行く
会社は、悪気なく評価の言葉を使います。嘘をついているわけではありません。その人にとっては、本当にそう思っているのでしょう。
でも、こちらが判断に使えるのは数字だけです。
| 会社が言うこと | こちらが聞き返す数字 |
|---|---|
| 「慣れれば大したことないよ」 | 何キロのものを、一日何個ですか |
| 「給料は変わりません」 | 手当は何が、いくら付きますか |
| 「残業は少ないよ」 | みなし残業は何時間分ですか。超えた分は出ますか |
| 「週休二日です」 | 休日に出た日はいくら付きますか |
| 「アットホームな職場です」 | 去年、何人入って何人辞めましたか |
コツは、評価を否定しないことです。
「大したことないんですね。ちなみに何キロですか」でいい。
相手を疑っているように見せずに、数字だけもらう。これなら角が立ちません。
そして、もらった数字で判断するのは自分です。「大したことない」かどうかは、相手が決めることではありません。
ちなみに、面接の段階で労働条件を書面にして渡すのは、会社側の義務です。お願いではありません。これも別の記事に書きました。
車を見ても、分からないことがあります
ここは、以前この記事に書いていたことを、自分で取り消します。
前はこう書いていました。
「新しい車両が多い → 経営状態が良い・ドライバーを大切にしている」
今は、そう単純ではないと思っています。
今の会社のトラックは、きれいです。見た目だけなら、良い会社に見えます。
ただ、何台かはレンタカーです。特に冷凍バンにレンタカーが多くて、ハイエースが並んでいます。従業員がそれに乗って通勤していたりもします。
レンタカーは、普通に考えたら高いはずです。それが常時ある。事故が多くて代車、というわけでもありません。
25年この業界にいて、正直、理由が分かりません。
でも、それで会社が回っているなら、私はそれ以上気にしていません。
言いたいのはこういうことです。駐車場を見て分かることは、思っているより少ない。きれいだから良い会社とも、レンタカーがあるから危ないとも、どちらも言えません。
見た目で見抜こうとすると、だいたい間違えます。だから、聞くんです。
それでも、見ておいて損はないもの
車ほど当てにならなくはない、という程度の話として、いくつか。
- 休憩室とトイレ:ドライバーが使う場所に手が入っているかどうかは、扱いに出ます
- 配車担当者の態度:配車はドライバーの毎日を決める人です。説明が雑な人なら、現場でも雑です
- 求人がいつも出ているか:人が入れ替わっているサインです
ただし、どれも決め手にはなりません。最後はやっぱり、数字を聞くことです。
もう一つ、これだけは求人票の段階で確認できます。
社会保険です。健康保険・厚生年金・雇用保険・労災。この四つは法律で決まっているもので、会社の好意ではありません。
求人票に「社会保険完備」と書いていない会社があったら、そこは聞いてください。ここまで「求人票では分からない」と書いてきましたが、これは数少ない例外です。書いてあるかどうかを見るだけで済みます。
求人票通りだった会社も、ちゃんとあります
ここまで読むと、運送会社はみんな怪しいように見えるかもしれませんが、そんなことはありません。
海コンをやっていた頃の会社は、求人票と実際が、ほとんど変わりませんでした。
勤務時間が多少前後することはありましたが、許容範囲です。というより、運送の仕事で時間がぴったり同じになるほうが珍しい。そこを責めるのは違うと思います。
「求人票と違う」で問題なのは、金と休みです。時間が三十分ずれることではありません。
余談ですが、海コン時代にもう一つ思い出があります。
業界で一番いいと言われていた会社の求人が出たので、応募したことがありました。書類選考は通りました。
最終面接に行ったら、面接官が四人並んでいました。
びっくりして、緊張して、ほとんど何も言えずに終わりました。当然、落ちました。
情けない話ですが、今となってはいい思い出です。そして、ちゃんと人を選ぶ会社は、ちゃんと手間をかけて選んでいるということでもあります。
転職エージェント・専門サービスの活用
運送業界に特化した転職サービスを使うと、求人票では分からない非公開求人や内部情報にアクセスできることがあります。
私は今回の転職活動では、Indeedで求人を見て、気になる会社を見つけました。ただ、自分ひとりで1社ずつ求人票を見比べるのは、時間も手間もかかる。「家から近い」「乙4が活きる」みたいな条件で絞り込むなら、専門のサービスに相談したほうが早いと思います。完全無料で使えるので、情報収集の入口として登録だけしておくのはアリです。
それに、金の話を自分から詰めるのは、正直やりにくい。間に人を挟めるというのは、それだけで価値があります。
まとめ
求人票は広告です。面接の言葉も、半分は広告です。
でも、数字は広告になりません。
200キロは200キロだし、手当がゼロならゼロです。
聞きにくいのは分かります。私も聞けませんでした。だからせめて、これだけ決めておいてください。
会社が評価の言葉を使ったら、必ず数字で聞き返す。
「慣れれば大したことないよ」と言われたら、「何キロですか」。
「給料は変わりません」と言われたら、「手当は何が付きますか」。
それだけで、十年前の私と、十年後の私の差は埋まります。

